突発性発疹とリンゴ病え~、この回も、前回のインフルエンザと同じく、ケーブルテレビの「教えてぞうさん先生」と言う番組で喋るために作った台本をそのまま載せました。まあ、実際に喋った言い回しは少しずつ違っているかも知れません。 Qがアナウンサー、Tが僕になります。 Q 今日は突発性発疹と、リンゴ病についてお話しを伺うわけですが、先生この2つの病気には何か似た特徴があるんですか? A う~~~ん、そうですね。ちょっと苦しいですが、ともに発疹を伴うウイルス感染症で、病気が治癒に入って発疹が出て、それによって診断がつくというのが共通した特徴でしょうか? Q それではまず突発性発疹についてお話しを伺います。 この病気の典型的な経過について教えてください。 A この病気は突然の高熱、38度後半から39度台の発熱によって発症します。熱は約3日間持続します。そして熱が下がる頃に発疹が出てきます。 Q 熱以外の症状はあまりないのでしょうか? A 鼻水、咳などの所謂風邪症状は殆どありません。下痢をする子は多いですが、それほどひどい下痢ではありません。熱の割に子供さんは比較的元気なことが特徴です。高熱によって熱性痙攣を合併することがしばしばあります。 Q 発疹はどういう感じの発疹ですか? A 主に胴体の部分から始まる、赤い点状~まだら状の発疹で、麻疹や風疹の発疹に似ています。 Q この病気の起こりやすい年齢と言うのはありますか? A あります。この病気は、9割以上が1歳になる前に起こります。遅くても2歳までで、2歳をすぎるとまずかかりません。 赤ちゃんが最初に高熱を出す原因がこの病気が多いと言われています。 ですから、昔は知恵熱と言われてました。 Q 感染は何によって起こるのでしょうか?子供同士でうつるものですか? A 成人の殆どは既にこの病気になっている訳ですが、それらの成人の唾液を介して感染するのではないかと言われています。病気の子供さんが感染源になるかどうかは今のところ不明ですが、施設内の集団発生は報告されていません。 Q ウイルス性の病気と言うことですが、原因となるウイルスは解っているのでしょうか? A はい。この病気は人ヘルペスウイルスの6型および7型に初めてかかったときに起こる病気だということが解ってきています。 Q と、言うことは病原体は2種類あるわけですね。 A そうです。以前は、この病気には1度かかればもうかかることはないと言われていましたが、現実に2度かかる子供さんがみられたわけです。 病原体が2種類あると言うことが解って、この病気には2度かかる可能性があることがわかってきました。 Q なるほど。では、3度目はないと言うわけですね。 A 終生免疫になりますので、2度はあっても3度はないと思います。 Q 解りました。それでは治療に関してお聞きします。 このウイルスにも、インフルエンザや水疱瘡のように、ウイルスをやっつける薬があるんでしょうか? A いや、残念ながらこのウイルスには、特効薬はありません。症状に対する対症療法と言うことになります。 主な症状は高い熱ですので、熱で子供さんが辛そうな時にはアセトアミノフェンという解熱剤を使ってあげてください。 Q 何度ぐらいになれば解熱剤を使ったらよいかという目安はあるのでしょうか? A う~ん、熱の数字でと言う事はないです。幸い子供さんは熱の割にお元気なことが多いですが、やはり赤ちゃんの初めての熱と言うことで、とくに最初のお子さんの場合、ご両親は不安になることも多いです。私はひとつの目安として39度あたりを考えれば良いと思います。 Q その他に注意することがありますか? A 熱が高いので、水分補給を心がけてあげてください。また熱性痙攣を起こすことがありますが、もし起こったら衣服を緩めて楽な姿勢をとらせてあげてください。口の中に指やスプーンなどを突っ込まないように。痙攣の多くは数分で自然に止まることが多いですが、止まらないようなら医療機関へ受診してください。 Q それではまとめをお願いします。 A 1突発性発疹は3日前後の高熱の後に発疹が出現する。 26ヶ月から1歳までの赤ちゃんに起こりやすい。 3 原因は人ヘルペスウイルス6型および7型である。 4 終生免疫が得られるが、ウイルスが2種類あるので 2度かかる人も居る 5 一般に良好な経過をたどるが、熱性痙攣の合併は多い。 6 治療は熱に対する対症療法である。 ありがとうございました。 それでは次にリンゴ病についてお話しを伺わせてください。 この病気は可愛い名前がついていますが、どんな病気でしょうか? A この病気は主に学童期のお子さんに起こりやすい病気ですが、両方のホッペタに赤い瀰漫性の楕円形の発疹が出ます。丁度小さな子供さんが寒い時期にほっぺたが真っ赤になることがありますが、それと同じような感じです。 それがリンゴ病の名前の由来ですね。正式には伝染性紅斑と言う名前です。 発疹はホッペタの他にも両方の腕にレースの編み目のような赤い発疹が出ることが多いです。 Q この病気の原因もウイルスなのですか? A そうです。ヒトパルボウイルスB19と言うウイルスの感染によって起こります。 Q 熱など、他の症状は無いのでしょうか? A このウイルスに感染すると1週間から10日ぐらいして、頭痛、筋肉痛、喉の痛み、微熱などの一般的な風邪と同じような症状がおこります。そして数日でそれが治って、その後1週間ぐらいして発疹が出てくるわけです。 Q すると発疹が出たと言うときに病気が始まった訳では無くて、既にその前から病気が起こっている訳ですね。 A その通りです。ですから、実際ウイルスが患者さんから排出されて、人に伝染する時期と言うのは、発疹が出ている時期ではなくて、その前の風邪に似た症状の時期だと言われています。 Q 発疹には痒みはないんですか? A 人によりますが、軽度の痒みや熱感を伴う場合があります。 Q 発疹はどのくらい続くものでしょうか? A ホッペタの赤いのは、数日で消えてしまう事が多いですが、手足のレース状の発疹は2週間前後にわたって消えたり出たりを繰り返すことが多いです。 Q 他に合併症のような物はないのでしょうか? A 普通の基礎疾患を持たない子供さんの場合は軽症に経過する事が多いです。 溶血性貧血と言う特殊な貧血を持っている人は、貧血が急激に進むことがあります。また、妊娠初期の妊婦さんがかかると流産の確率が増えます。 Q と、言うことは大人にもかかるんですか? A 大人にもかかります。大人の方がむしろ症状がキツイ事が多いです。 大人は、ホッペタの赤い発疹は出ないことが多くて、足に麻疹様の小さい点状の発疹が出ることが多いです。そして足が腫れたり関節や筋肉の痛みを伴い、それが結構続くことが多いです。患者さんのお母さんや、幼稚園、保育園の先生がなりやすいですね。 Q 治療はどのようにするのでしょうか? A この病気の元になるウイルスに対してもそれ自体に効くお薬はありません。 病気自体が一般に軽症に経過するので、一般的な症状に対する治療でかまいません。熱や関節の痛みには鎮痛解熱剤を。発疹の痒みに対しては痒みを押さえるお薬が処方されます。 Q 発疹には軟膏など塗る必要はないんですか? A 塗り薬は必要ありません。痒みや熱感が強いときには飲み薬が処方されます。それから、日光を強く浴びると発疹が消えにくい、また再発しやすい傾向がありますので、病気になって2週間ぐらいは不必要に強く日光に当たらないようにした方がよろしいかも知れません。 Q 発疹が出ている時期に学校へ行っても良いのでしょうか? A 発疹が出る時期には、身体からウイルスの排泄はしてないと言われていますので、本人の体調がよければ構わないのじゃないかと思います。 ありがとうございました。 それでは、まとめをお願いします。 リンゴ病は伝染性紅斑といい、人パルボウイルスによる感染症である。 頬のりんご様の発疹、手足のレース状の赤い発疹を特徴とする。 発疹出現1週間ぐらい前に軽い風邪症状が見られる。 治療は症状に対する対症療法である。 発疹が出ている時には、他人へうつる危険性は少ない。 ジャンル別一覧
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